「利益は出とるのに債務超過⁉」元経理部長が教える5つの解消法
2025/09/24
まずは結論。社長、その悩みは解決できます。
「利益は出ているはずなのに、なぜかお金が手元に残らない…」。
それどころか、銀行から「債務超過ですね」と指摘され、一人で頭を抱えていませんか?その感覚、そしてその事実、社長が寝る間も惜しんで会社と従業員のために働いてきたからこそ、直面する悩みだと思います。
その状態、放置すると融資が止められたり、会社の信用が失墜したりと、非常に危険なサインです。
しかし、ご安心ください。多くの中小企業が、成長の過程でこの壁にぶつかります。そして、正しい手順を踏めば、必ず解消できます。特別なことではないのです。
この記事では、27年間、経理の現場で数々の中小企業の浮き沈みを見てきた元経理部長である私が、会社の未来を守るための「債務超過を解消する5つの具体的なステップ」を、専門用語をできるだけ使わずに、分かりやすく解説します。
なぜ「利益が出ているのに債務超過」という状態に陥るのか?
「決算書上は利益が出ているはずなのに、なぜか手元のキャッシュはいつもギリギリだ…」。
社長、もしかして、そんな風に感じていませんか?
そして、ふと税理士から渡された貸借対照表(B/S)を見てみたら、純資産の部がマイナスになっている…。これが「債務超過」の状態です。
なぜ、利益が出ているはずなのに、会社は不健康な状態に陥ってしまうのでしょうか。まずはその原因から、一緒に見ていきましょう。
H2-1. そもそも「債務超過」とは?会社の健康診断で”要精密検査”と言われた状態です
専門用語が出てくると、つい身構えてしまいますよね。ご安心ください。ここでは誰にでも分かるように、ごく簡単に説明します。
債務超過とは、一言でいえば「会社の全財産をかき集めても、借金を返しきれない状態」のことです。
ご家庭の家計に例えてみましょう。
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資産:預貯金や家、車など、プラスの財産
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負債:住宅ローンや車のローンなど、マイナスの財産(借金)
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純資産:資産から負債を差し引いた、本当の意味でのあなたの財産
もし、貯金や家を全部手放しても住宅ローンが残ってしまうなら、それは家計の「債務超過」です。
会社もこれと全く同じです。会社の資産(現金、売掛金、機械、建物など)よりも、負債(借入金、買掛金など)の方が大きくなってしまった状態が、債務超過なのです。
これは、会社の健康診断で「D判定:要精密検査」と言われたようなもの。すぐに倒産するわけではありませんが、放置すれば、銀行からの融資がストップしたり、取引先からの信用を失ったりと、深刻な事態を招きかねません。
H2-2. 「うちは大丈夫」が危ない。中小企業が陥りがちな3つの落とし穴
「うちは真面目にやってるし、売上も上がっている。大丈夫だろう」。
そう思っている誠実な社長ほど、陥りやすい落とし穴があります。実は、債務超過は特別なことではなく、多くの中小企業がこの問題と隣り合わせなのです。
原因1:頑張りの証でもある「借入金」
「従業員のためにもっと効率の良い機械を導入したい」「手狭になった工場を拡張したい」。
会社を成長させたいという社長の熱い想いが、大型の設備投資につながることは少なくありません。その資金を金融機関からの借入で賄うのは、当然の経営判断です。
しかし、その返済が計画通りに進まなかった場合、立派な機械は資産として計上される一方、借入金という重い負債が貸借対照表にのしかかり、バランスを崩してしまうのです。
原因2:社長の優しさである「役員借入金」
「今月、少し資金が足りないから、俺の個人口座から補填しておくか…」。
社長、こんな経験はありませんか?会社のピンチを救うため、社長個人が会社にお金を貸す「役員借入金」。これは、多くの社長が経験することです。
しかし、これが税務上は会社から見れば「社長からの借金(負債)」として扱われます。社長の会社への愛情や貢献が、皮肉にも会社の財務状況を悪化させる一因になってしまうことがあるのです。
原因3:日々の忙しさからくる「どんぶり勘定」
「ええもんを作りゃ、お客さんは分かってくれる」。その信念は、モノづくりの基本であり、絶対に正しい。
では社長、質問です。御社の看板商品である佃煮や惣菜、その一袋あたりの正確な原価を、今ここで即答できますか?
昨今の原材料費や光熱費の高騰は、中小企業の利益を静かに、しかし確実に蝕んでいます。長年の付き合いの得意先には、なかなか「値上げしてくれ」とは言いにくい…。
その結果、「一番の売れ筋商品が、実は売れば売るほど赤字を垂れ流していた」なんていう、笑えない話が実際に起こるのです。これこそが、「利益は出とるはずなのに、金が残らん」 の正体の一つです。
【具体的解決策】元経理部長が伴走!債務超過を解消する5つの実践ステップ
原因が分かれば、あとは対策を打つだけです。
難しく考える必要はありません。ここからは、私が経理部長として数々の会社で実践してきた、具体的で現実的な5つのステップをご紹介します。
H2-3. 【ステップ1:現状把握】まずは敵を知ることから。会社の健康診断書(決算書)を読んでみよう
税理士さんから分厚い決算書のファイルを受け取って、「ありがとうございます」と応接室のキャビネットにしまい込んでいませんか?気持ちはよく分かります。数字の羅列は、見るだけで疲れてしまいますよね。
ですが、見るべきポイントはたった一つで大丈夫です。
貸借対照表(B/S)の右下にある「純資産の部」の合計額を見てください。
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この数字がマイナス(▲)になっていれば、あなたの会社は債務超過です。
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プラスであっても、資本金の額を大きく下回っているなら、危険信号です。
まずは、自社の本当の体力を、社長自身の目で確かめること。すべてはそこから始まります。
H2-4. 【ステップ2:資産の見直し】工場の隅に眠る”お宝”を探せ!
次に、会社のぜい肉落としていきましょう。具体的には、使っていない資産を現金化することです。
(架空の事例)
広島・呉市で惣菜加工業を営むA社(従業員30名)も、慢性的な債務超過に悩んでいました。そこで社長は、まず全従業員と「お宝探し」と称して、工場内を徹底的に見直しました。
すると、
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5年以上使っていない古い梱包機
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先代が買ったものの、今は誰も使わない業務用の大型冷蔵庫
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取引がなくなった会社の包装資材のデッドストック
これらが見つかりました。梱包機と冷蔵庫は中古業者に売却して合計80万円の現金化に成功。包装資材は処分費用がかかりましたが、空いたスペースのおかげで倉庫の管理コストが下がり、作業効率もアップしました。
社長の会社にも、そんな”お宝”が眠っているかもしれません。
H2-5. 【ステップ3:負債の圧縮】最大の切り札!社長からの借金を”会社の資本”に変える魔法
ステップ3は、債務超過解消における最大のポイントであり、多くの中小企業にとって最も効果的な一手です。
それは、原因2で挙げた「役員借入金」を、会社の「資本金」に振り替えるという方法です。
専門用語では「DES(デット・エクイティ・スワップ)」と言いますが、難しく考えないでください。「社長が会社に貸しているお金を、会社への出資金(=資本)という扱いに変える」だけです。
これを行うと、貸借対照表に魔法のような変化が起こります。
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「負債」が劇的に減ります。(役員借入金が消えるため)
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「純資産(資本)」が劇的に増えます。(その分が資本金に変わるため)
この結果、多額の債務超過だった会社が、一夜にして自己資本の厚い優良企業に生まれ変わる可能性すらあるのです。金融機関の担当者が決算書を見た時の、驚く顔が目に浮かびます。「この社長は本気で会社を立て直す覚悟がある」という、何よりのメッセージにもなります。
【重要】ただし、この魔法には専門的な手続きが必要です
DESを実行するには、法務局への登記申請が必要だったり、税務上の注意点があったりします。必ず、顧問税理士や司法書士といった専門家に相談しながら進めてください。決して社長一人の判断で進めてはいけません。
H2-6. 【ステップ4:収益力の改善】本当の意味で会社を強くする
さて、ステップ2と3で財務諸表はキレイになりました。しかし、これはあくまで応急処置。本当の意味で会社を強くするには、本業でしっかりと利益を出す「稼ぐ力」を取り戻さなければなりません。
やるべきことは、原因3で挙げた「どんぶり勘定」からの脱却です。
「まずは、一番売れている佃煮の原価計算から始めてみませんか?」
材料費、加工にかかる人件費、水道光熱費、包装代…すべてを洗い出し、一袋あたりの正確な利益を計算してみましょう。もし利益がほとんど出ていない、あるいは赤字なのであれば、対策は2つしかありません。
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コストを下げる努力をする
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勇気をもって、値上げ交渉をする
長年の取引先に値上げを切り出すのは、本当に心が痛みますよね。私も経理部長時代、何度も社長と一緒に頭を下げて回りました。
その経験から言えるのは、「本当に申し訳ないのですが、この品質を維持するため、あと3%だけお願いできませんでしょうか」と、正直に、誠実に理由を説明すれば、分かってくださるお客様は必ずいる、ということです。会社の未来のため、従業員の生活のため、今こそ社長が勇気を出す時です。
H2-7. 【ステップ5:増資】最後の手段としての外部からの資金注入
これは、親族や取引先、あるいはファンドなど、外部の第三者に株主になってもらい、出資をしてもらう方法です。会社の自己資本を増やせるので、債務超過解消には直接的な効果があります。
しかし、これは経営の自由度が失われる可能性もある「最後の手段」です。
まずはステップ1から4までを徹底的にやり抜くこと。自社の力で財務体質を改善し、収益力を高めることこそが、本当の意味で会社を強くし、10年、20年先も生き残る ための王道だと、私は信じています。
【まとめ】債務超過の解消は、会社が生まれ変わる絶好のチャンスです
ここまで、債務超過の原因と5つの解消ステップについてお話してきました。
債務超過という現実に直面することは、社長にとって非常に重く、夜も眠れないほどのプレッシャーだと思います。
しかし、見方を変えれば、これは会社の膿を出し切り、筋肉質な経営体質へと生まれ変わるための絶好の機会なのです。
どんぶり勘定をやめ、自社の本当の実力を数字で把握し、従業員と一丸となってコスト意識を高める。この危機を乗り越えた時、あなたの会社は以前よりもずっと強くなっているはずです。
「親父の代から続く会社を、俺の代で潰すわけにはいかん」。
その強い責任感と、従業員やその家族を想う気持ち こそが、会社を再建する最大の原動力です。
一人で抱え込まないでください。あなたの隣には、必ず味方がいます。
債務超過の解消でお悩みの経営者様へ。当社の『もう一人の経理部長プラン』なら、そのお悩みを解決できます。まずはHPをご覧ください。
【筆者プロフィール】
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檜和田 知之(ひわだ ともゆき)
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27年間の経理・業務改善経験を持つ、中小企業の資金繰りのプロ。元経理部長として、数々の企業の財務改善を現場で支援。社長の隣に座り、同じ目線で悩みに寄り添う伴走支援をモ-ットーとしている。
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