なぜ2代目社長の7割が財務で悩むのか?元経理部長が明かす3つの真実
2025/09/23
深夜23時、誰もいない事務所にぽつんと灯る明かり
カチカチと時計の音だけが響く深夜の事務所。
パソコンの画面には「会社 立て直し 何から」という検索履歴。
これは、私が27年間の経理人生で何度も目にしてきた、2代目社長たちの孤独な姿です。
「利益は出ているはずなのに、なぜか月末になると支払いに追われる…」
「売上は順調に推移しているのに、銀行残高を見るたびに不安になる…」
「父の時代はこんなことなかったのに、自分の経営が間違っているのだろうか…」
もし、あなたも同じような不安を抱えているなら、それは決してあなただけの問題ではありません。
実は、中小企業の2代目社長の約7割が、事業承継後3年以内に「財務・資金繰り」を最大の経営課題として挙げているという調査結果があります(※この数値は説明のための仮想データです)。
なぜ優秀な2代目社長ほど財務で苦しむのか
私は檜和田知之(ひわだ ともゆき)と申します。
27年間、中小企業の経理部長として、また経営コンサルタントとして、数多くの2代目社長の財務改革をお手伝いしてきました。
その経験から断言できることがあります。
財務で悩む2代目社長は、決して経営能力が低いわけではありません。
むしろ、真面目で責任感が強く、会社の将来を真剣に考えているからこそ、財務の壁にぶつかるのです。
今日は、私が現場で見てきた「2代目社長が財務で悩む3つの真実」と、そこから抜け出すための具体的な方法をお話しします。
3つの真実が、2代目社長を苦しめている
真実その1:先代の「どんぶり勘定」という見えない負債
先代の社長、特に創業者の多くは、職人気質で仕事に情熱を注ぐ素晴らしい経営者でした。
「良いものを作れば売れる」
「お客様に喜んでもらえれば利益は後からついてくる」
この信念で会社を大きくしてきた先代の功績は、誰も否定できません。
しかし、その裏側で「どんぶり勘定」という見えない負債が、静かに会社を蝕んでいることがあります。
広島県の金属加工業A社の事例(※架空の事例です)
従業員20名、年商2億円の金属加工業A社。
2代目のT社長(42歳)は、こんな悩みを抱えていました。
「父の時代から取引している得意先からの仕事は忙しい。従業員も残業して頑張ってくれている。なのに、なぜか手元にお金が残らない…」
調査してみると、驚くべき事実が判明しました。
- 主力製品の原価計算が10年前から更新されていない
- 材料費が30%上昇しているのに、販売価格は据え置き
- 実質的に赤字の取引先が全体の4割を占めていた
「でも父の代から付き合いのある会社だから…」
T社長の葛藤は痛いほどわかります。
しかし、このまま続ければ、会社の存続自体が危うくなります。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
それは、先代の成功体験が「聖域」となり、誰も手を付けられない状態になっているからです。
「儲かっているはず」という思い込みと、「手元にお金がない」という現実のギャップ。
これが、2代目社長を苦しめる最初の真実です。
真実その2:ベテラン社員との間にある「財務の壁」
2代目社長が新しい取り組みを始めようとすると、必ず出てくる言葉があります。
「先代はそんなこと言わなかった」
「今まで通りでいいじゃないか」
「数字なんか見なくても、現場はわかっている」
ベテラン社員は、先代への恩義と長年の経験から、会社を支えてくれる大切な存在です。
しかし同時に、財務改革の最大の抵抗勢力になることもあります。
従業員15名の製造業B社での改革事例(※架空の事例です)
B社の2代目M社長(35歳)は、月次の収支報告会を始めようとしました。
「みんなで数字を共有して、一緒に会社を良くしていきたい」
しかし、現場のベテラン職長からは猛反発。
「俺たちは物を作るのが仕事だ。数字は社長が見ればいい」
「そんな会議してる暇があったら、一個でも多く製品を作った方がいい」
M社長は孤立してしまいました。
この壁を乗り越えるには、どうすればいいのでしょうか?
答えは「小さな成功体験の共有」です。
M社長は、まず一人のベテラン社員と個別に話し合い、その人が担当する製品ラインだけの収支を一緒に見ることから始めました。
「この製品、こんなに利益が出ているんですね!」
ベテラン社員の目が輝いた瞬間でした。
3ヶ月後、そのベテラン社員は自ら他の社員に「数字を見ることの大切さ」を伝えるようになっていました。
組織の壁は、正面突破ではなく、一人ずつの理解者を増やすことで乗り越えられます。
真実その3:孤独な意思決定の連続という重圧
経営者の会合に参加しても、本音を言えない。
「うちは順調です」と言いながら、内心では資金繰りに悩んでいる。
これが、多くの2代目社長の現実です。
年商2億円のC社社長の決断プロセス(※架空の事例です)
C社のK社長(40歳)は、設備投資の判断で3ヶ月悩んでいました。
「この設備投資で生産性は30%上がる。でも、借入金が増えることで資金繰りは大丈夫だろうか…」
銀行の担当者は「大丈夫です」と言うけれど、それは営業トークかもしれない。
税理士に相談しても「社長が決めることです」と言われる。
先代なら「えいや!」で決断したかもしれないが、自分にはその勇気がない。
K社長を救ったのは、ある言葉でした。
「社長、まず3年間のキャッシュフロー予測を作ってみましょう。最悪のシナリオも含めて。それを見てから判断しても遅くありません」
私がK社長に提案した方法です。
数字による「見える化」は、勇気ではなく、確信を持って決断するための道具なのです。
実際の改善プロセス:広島の製造業D社の3ヶ月改革
ここで、実際に私がサポートした製造業D社の事例をご紹介します(※プライバシー保護のため、詳細は変更した架空の事例としてお読みください)。
初月:現状把握「売れ筋商品トップ5の原価計算から開始」
D社のS社長(45歳)と最初に取り組んだのは、たった5つの商品の原価計算でした。
「全商品は無理でも、売れ筋トップ5なら…」
エクセルで簡単な表を作り、以下の項目を埋めていきました。
- 材料費(最新の仕入れ値で)
- 外注費(あれば)
- 労務費(作業時間×時間単価)
- 製造経費(設備の減価償却費など)
- 販売価格
結果は衝撃的でした。
トップ5のうち、2つの商品が実質赤字。
「これ、10年前から同じ値段で売っていました…」
S社長の顔が青ざめました。
でも、これは悪いことではありません。
問題が「見えた」ことが、改善への第一歩なのです。
2ヶ月目:見える化「簡易キャッシュフロー表の導入」
次に取り組んだのは、A4用紙1枚のキャッシュフロー表です。
難しい会計用語は使いません。
- 今月の入金予定
- 今月の支払予定
- 差額
- 月末の預金残高予想
たったこれだけです。
「これなら私でも作れる!」
S社長は毎朝10分、この表を更新することを日課にしました。
そして、ベテラン社員を巻き込む工夫も。
月に1回、この表を見ながら「今月も黒字です。皆さんのおかげです」と朝礼で報告。
数字が苦手なベテラン社員も、「黒字」「赤字」なら理解できます。
徐々に「今月はもっと頑張ろう」という声が現場から上がるようになりました。
3ヶ月目:改善実感「資金繰り予測で不安から解放」
3ヶ月目には、3ヶ月先までの資金繰り予測ができるようになりました。
「来月の支払いは大丈夫」
「3ヶ月後の賞与も問題なく払える」
この「見通し」があることで、S社長の表情が明るくなりました。
さらに嬉しい副産物も。
銀行の担当者が驚きました。
「御社の財務管理、すごく良くなりましたね。追加融資の相談があれば、ぜひお聞かせください」
数字で説明できることで、銀行との交渉力も格段に上がったのです。
今すぐできる3つのアクション
さて、ここまで読んでいただいたあなたに、明日から実践できる3つのアクションをお伝えします。
1. 明日の朝一番にやること:売上トップ商品の粗利を計算
まず、あなたの会社の売上トップ商品を1つ選んでください。
そして、以下の簡単な計算をしてみましょう。
粗利 = 販売価格 - 材料費 - 外注費
もし粗利率が20%を切っていたら、黄色信号です。
価格改定か、コスト削減か、何らかの対策が必要です。
2. 今週中にやること:月次試算表を1枚のA4にまとめる
税理士さんからもらう試算表、分厚くて見る気がしませんよね。
それをA4用紙1枚にまとめてみましょう。
- 売上高
- 粗利益(額と率)
- 営業利益(額と率)
- 現預金残高
- 借入金残高
この5つの数字だけでも、会社の健康状態は把握できます。
3. 今月中にやること:信頼できる専門家との面談設定
一人で悩んでいても、答えは出ません。
信頼できる専門家を見つけることが、財務改革の近道です。
ポイントは、以下の3つです。
- 中小企業の実務経験が豊富
- 専門用語を使わず、わかりやすく説明してくれる
- 上から目線ではなく、伴走してくれる姿勢
まとめ:2代目社長の財務改革は「小さな一歩」から
27年間、多くの2代目社長とお会いしてきて確信していることがあります。
財務の問題は、必ず解決できます。
大切なのは、完璧を求めないこと。
まず、小さな一歩から始めればいいのです。
売れ筋商品の原価計算から。
A4用紙1枚のキャッシュフロー表から。
一人のベテラン社員との対話から。
その小さな積み重ねが、3ヶ月後、半年後、1年後に大きな変化となって現れます。
最後に:一人で抱え込まないでください
深夜の事務所で、一人パソコンに向かっているあなたへ。
その孤独な戦い、よくわかります。
でも、一人で抱え込む必要はありません。
先代から受け継いだ会社を、次の世代へつなぐ。
その崇高な使命を果たすために、頼れる味方を見つけてください。
私たちのような専門家は、そのためにいます。
「もう一人の経理部長」として、あなたの横で一緒に考え、一緒に悩み、一緒に解決策を見つける。
それが、私たちの仕事です。
財務の見える化でお悩みの経営者様へ。当社の『もう一人の経理部長プラン』なら、そのお悩みを解決できます。まずはHPをご覧ください。
筆者プロフィール
檜和田知之(ひわだ ともゆき)
27年間の経理・業務改善経験を持つ、中小企業の資金繰りのプロ。
大手企業の経理部長を経て独立。「難しいことを、わかりやすく」をモットーに、広島を中心に中小企業の財務改革をサポート。特に2代目・3代目社長の「もう一人の経理部長」として、伴走型の支援を行っている。
参考文献・出典
- 中小企業白書 2023年版(中小企業庁)
- 事業承継に関する企業の意識調査(日本政策金融公庫総合研究所)
- 中小企業の財務管理に関する実態調査(各種統計データ)
※本記事で紹介した企業事例は、プライバシー保護のため詳細を変更した架空の事例です。
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