税理士に経営相談できない社長9割の本音と解決策
2025/09/07
※本記事は実際の事例を基に構成したフィクションです。登場する人物・企業名は全て架空のものですが、内容は多くの中小企業経営者が直面する現実を反映しています。
ある木曜日の夜9時、社長室にて
2021年11月のある木曜日。広島市西区の工業団地にある田中製作所の社長室で、田中浩二社長(58歳・仮名)は月次決算書を前に深いため息をついていた。
蛍光灯の白い光が、デスクに散らばった書類を照らしている。売上高2億8000万円。前年同月比95%。営業利益は、またしても赤字だった。
「売上は月に3億円近くあるのに、なんで金が回らないんだ...」
田中社長は、もう何度目かわからない独り言をつぶやいた。明日の朝10時、顧問税理士の山田先生との月次報告会がある。創業以来15年間お世話になっている山田税理士事務所。月額5万円の顧問料を払い続けているが、最近どうも物足りなさを感じている。
「明日こそ、資金繰りの相談をしてみよう」
田中社長は決意を新たにした。従業員32名の生活がかかっている。このままでは、年末のボーナスどころか、来月の給料支払いも危うい。
窓の外では、広島の夜景がきらめいている。同じ工業団地で頑張る仲間たちも、きっと同じような悩みを抱えているのだろうか。
金曜日午前10時、顧問税理士との月次報告会
「田中社長、おはようございます。先月の数字をまとめてきました」
山田税理士(62歳)は、いつものようにA4サイズの月次試算表を机に広げた。几帳面に整理された数字の羅列。売上高、売上原価、販管費、営業利益...。
「先月の売上は前年比95%でしたね。人件費が3%上昇、材料費は8%増加。結果として営業利益は...」
山田税理士の説明は淡々と続く。田中社長は、今こそ切り出すタイミングだと思った。
「山田先生、実は資金繰りのことで相談があるんですが...」
山田税理士の表情が一瞬曇った。そして、いつもの決まり文句が返ってきた。
「田中社長、それは経営判断の領域ですから。私は税務のプロであって、経営コンサルタントではありません。資金繰りは御社で管理していただかないと」
会議室に、気まずい沈黙が流れた。壁にかかった時計の秒針の音だけが、やけに大きく響いている。
「でも先生、数字のプロなんだから、何かアドバイスを...」
「申し訳ありませんが、私の専門外です。それより、来月の源泉所得税の納付期限が...」
話は、またいつもの税務手続きの話に戻ってしまった。
実は、この光景は田中社長だけの特別な経験ではない。2023年の中小企業基盤整備機構の調査によると、顧問税理士に経営相談をしたことがある中小企業経営者は全体のわずか23%。さらに、その相談に満足したと答えた経営者は、そのうちの31%に過ぎない。
つまり、全体で見れば、顧問税理士の経営アドバイスに満足している経営者は、たった7%程度なのだ。広島県商工会議所の独自調査でも、「税理士に経営の相談をしても的確な答えが返ってこない」と回答した経営者は実に89%に上っている。
なぜ税理士は経営相談に乗れないのか
土曜日、山田税理士の独白
その週の土曜日、山田税理士は自分の事務所で一人、確定申告の準備に追われていた。
「田中社長には申し訳ないが、正直、経営相談なんて受けている余裕はない」
山田税理士の顧問先は30社。確定申告時期には個人の申告も含めて200件以上の案件を抱える。朝8時から夜10時まで働いても、やっと税務申告業務をこなすのが精一杯だ。
「それに、下手に経営アドバイスをして失敗したら責任問題になる。税務なら法律に従って処理すればいいが、経営に正解はない」
これが、多くの税理士の本音だった。
ある研修会での出来事
翌月、広島県税理士会の研修会で、山田税理士は同業者たちと昼食を共にしていた。
「最近、顧問先から経営相談を受けることが増えてきて困っている」
若手税理士の愚痴に、ベテラン税理士が答えた。
「うちは最初から『税務顧問契約』って明確にしているよ。経営相談は別料金。月30万円からね」
「30万円!そんなに取れるんですか?」
「取れるわけないだろう。だから実質的に断っているんだよ」
テーブルに笑い声が広がった。しかし、その笑い声のどこかに、苦い響きが混じっていた。
実際、税理士の養成課程を見ても、経営学や経営分析の科目は必須ではない。税法、会計学、財務諸表論...。すべて「過去の数字」を正確に処理するための学問だ。「未来の経営」を考える訓練は受けていないのが実情なのである。
田中社長の気づき
研修会から戻った山田税理士との次の面談で、田中社長はある重要なことに気づいた。
「月額5万円の顧問料で、いったい何を期待できるというのか」
時給換算すれば、せいぜい月に5~6時間の作業時間。記帳代行と税務申告書の作成だけで手一杯だ。経営相談なんて、最初から契約に含まれていなかったのだ。
「でも、それなら最初から言ってくれればよかったのに...」
田中社長の心に、やり場のない怒りと諦めが交錯した。
転機となった3つの出来事
出来事1:同業者の倒産(2022年春)
2022年4月、衝撃的なニュースが広島の製造業界を駆け巡った。同じ工業団地で操業していた山陽製作所が、突然倒産したのだ。
山陽製作所は年商4億円。田中製作所より規模は大きかった。倒産の報を聞いて、田中社長はすぐに山陽製作所の元社長、佐藤氏(仮名)に連絡を取った。
「田中さん、売上はあったんだよ。でも、回収サイトと支払いサイトのバランスが崩れて...」
佐藤氏の声は、疲れ切っていた。
「顧問税理士には相談しなかったんですか?」
「したよ。でも『それは経営判断です』の一点張り。資金繰り表の作り方も教えてくれなかった。気づいたときには、もう手遅れだった」
電話を切った後、田中社長は背筋が寒くなった。明日は我が身かもしれない。
出来事2:銀行融資の審査での屈辱(2022年夏)
2022年8月、田中社長は運転資金の調達のため、メインバンクの広島信用金庫(仮名)に融資を申し込んだ。
「田中社長、申し訳ありませんが、御社の財務内容では融資は難しいですね」
若い融資担当者の言葉は、刃物のように鋭かった。
「でも、売上は安定していますし...」
「事業計画書はありますか? 5カ年の資金繰り予測表は? 投資回収の計算書は?」
田中社長は言葉に詰まった。そんなもの、作ったことがない。
「税理士の先生に相談されてはいかがですか?」
帰り道、田中社長は山田税理士に電話をかけた。
「事業計画書? それは私の仕事じゃありませんよ。中小企業診断士にでも頼んでください」
電話の向こうの声は、どこか面倒くさそうだった。
この時の悔しさを、田中社長は今でも忘れられない。従業員32名の生活を預かる経営者として、あまりにも無力だった。
出来事3:娘からの一言(2023年正月)
2023年の正月、久しぶりに帰省した長女の言葉が、田中社長の心に突き刺さった。
「お父さん、最近疲れてるね。会社、大丈夫?」
大学4年生の娘は、就職活動の真っ最中だった。
「お母さんから聞いたよ。夜遅くまで会社にいるって。従業員の人たちも心配してるって」
田中社長は、家族にまで心配をかけていることに愕然とした。経営者は孤独だ。従業員には弱音を吐けない。家族にも本当の苦しさは話せない。そして、専門家であるはずの税理士にも相談できない。
「このままじゃ、俺は何のために生きているんだ」
正月休みの最終日、田中社長は決意した。このままではいけない。何か行動を起こさなければ。
解決への道筋 ~田中社長が選んだ3つの行動~
1. セカンドオピニオンの活用
2023年2月、田中社長は知人の紹介で、広島市中区で活動する経営コンサルタントの木村氏(仮名)と出会った。
「田中社長、月次決算書を見せていただけますか?」
木村氏の最初の質問は、山田税理士とは全く違った。
「この売掛金の回収サイト、120日は長すぎますね。在庫回転率も2.5回転。改善の余地が大いにあります」
数字の見方が、全く違っていた。山田税理士は「過去の記録」として数字を見ていたが、木村氏は「未来への改善ポイント」として数字を読み解いていく。
「まず、月次の経営会議を始めましょう。私も同席します。月額10万円でいかがですか?」
田中社長は即決した。高いとは思わなかった。むしろ、これまでなぜこういう専門家を活用しなかったのか、自分の視野の狭さを恥じた。
月次経営会議が始まって3カ月後、変化が現れ始めた。
- 売掛金の回収サイトを30日短縮
- 在庫の適正化で2000万円のキャッシュを創出
- 原価率を3%改善
「数字が経営に活きる」とは、こういうことだったのか。田中社長は、初めて経営の醍醐味を味わった。
2. 経営者仲間との情報交換
木村コンサルタントの勧めで、田中社長は広島の若手経営者の会「広島ネクスト経営者クラブ」(仮名)に参加した。
毎月第三木曜日の夜7時から、広島市内のホテルで開催される勉強会。参加者は約30名。皆、年商1億~10億円規模の中小企業経営者たちだった。
「うちも税理士には経営相談できなくて困ってたんです」
ある日の懇親会で、建設業を営む岡田社長(仮名)が打ち明けた。
「でも、この会で教わった『日繰り資金繰り表』を自分で作るようになってから、資金ショートの不安がなくなりました」
「どうやって作るんですか?」
「簡単ですよ。エクセルで...」
その夜、岡田社長は居酒屋のテーブルで、ノートパソコンを開いて資金繰り表の作り方を教えてくれた。
経営者同士だからこそわかる悩み。経営者同士だからこそできる助け合い。田中社長は、初めて「仲間」を得た気がした。
3. 外部CFOサービスの活用
2023年6月、経営者クラブで知り合った先輩経営者から、ある情報を得た。
「田中さん、『もう一人の経理部長』っていうサービス知ってる?」
それは、外部CFOサービスの一種だった。月額20万円で、財務戦略の立案から銀行交渉まで、CFO業務を丸ごとアウトソーシングできるという。
「高くないですか?」
「最初はそう思った。でも、このサービスのおかげで、銀行から1億円の融資を引き出せた。金利も0.5%下がった。投資対効果を考えたら、安いもんだよ」
田中社長は、早速問い合わせをした。担当者との面談で、これまでの財務面での課題が次々と明らかになった。
- キャッシュフロー計算書を作成していない
- 銀行格付けを意識した決算書になっていない
- 設備投資の採算計算ができていない
- 適正な運転資金額を把握していない
「これらを改善すれば、御社の企業価値は確実に上がります」
担当者の言葉に、田中社長は希望を見出した。
サービス開始から3カ月後、メインバンクとの交渉に臨んだ。今度は、しっかりとした事業計画書と資金繰り表を携えて。
「田中社長、素晴らしい改善ですね。これなら5000万円の融資も可能です」
あの時と同じ若い融資担当者の態度が、180度変わっていた。
3年後の今(2024年11月)
あれから3年。田中製作所の社長室で、田中社長は満足げに最新の月次決算書を眺めていた。
- 年商:5億2000万円(3年前の1.8倍)
- 営業利益率:8%(3年前はマイナス)
- 現預金残高:8000万円(3年前の4倍)
今年の冬は、3年ぶりに従業員へのボーナスを支給できる。それも、過去最高額だ。
山田税理士との関係も変わった。税務は引き続き山田税理士に任せているが、過度な期待はしていない。税務は税務のプロに、経営は経営のプロに。適材適所の体制が整った。
「田中社長、来期の設備投資計画を見せていただけますか?」
外部CFOの声に、田中社長は笑顔で応じた。もう、一人で悩むことはない。
窓の外では、相変わらず広島の工業団地が活気に満ちている。きっと今も、どこかで資金繰りに悩む経営者がいることだろう。
「あの時、行動を起こして本当によかった」
田中社長は、心からそう思った。
あなたも一歩を踏み出しませんか
田中社長の物語は、フィクションです。しかし、これは多くの中小企業経営者が経験している現実でもあります。
税理士に経営相談ができないのは、あなたのせいではありません。それは構造的な問題なのです。
しかし、だからといって諦める必要はありません。田中社長のように、行動を起こせば必ず道は開けます。
今すぐできる3つのアクション:
-
現状を正確に把握する
- 月次の資金繰り表を作成する
- 売掛金と買掛金のバランスを確認する
- 在庫の回転率を計算する
-
外部の専門家を活用する
- セカンドオピニオンを求める
- 経営者の勉強会に参加する
- 必要に応じて外部CFOサービスを検討する
-
税理士との関係を見直す
- 役割分担を明確にする
- 過度な期待をしない
- 必要なら税理士の変更も視野に入れる
経営者は孤独です。でも、一人で戦う必要はありません。
経営者様へ。
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著者プロフィール
檜和田知之(ひわだ・ともゆき)
中小企業のキャッシュフロー専門家。会計・経営改善の経験27年。広島を中心に、年商1億~10億円規模の中小企業300社以上の財務改善を支援。「経営者に寄り添う」をモットーに、実践的で分かりやすいアドバイスに定評がある。
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