在庫で資金繰りが苦しい!食品加工業の適正在庫計算法
2025/08/29
はじめに:在庫の山を見て、ため息をついていませんか?
「また在庫が増えてしまった...」
「資金が在庫に化けて、支払いが厳しい...」
こんな悩みを抱えている食品加工業の経営者の方、実は珍しくありません。
私は檜和田知之と申します。27年間、中小企業の経理と業務改善に携わってきました。特に食品加工業の在庫管理については、数多くの企業様の改善をお手伝いしてきた経験があります。
広島で食品加工業を営む社長様から、「在庫が多すぎて倉庫代もかさむし、でも欠品は怖いし...」というご相談を受けることが本当に多いんです。牡蠣の加工品やお好み焼き関連商品など、広島ならではの商品を扱う企業様は、特に季節変動に悩まされていますよね。
今日は、そんな悩みを解決する「適正在庫の計算方法」を、できるだけわかりやすく、実践的にお伝えします。
この記事を読み終わる頃には、あなたも「うちの適正在庫はこれくらいか!」と具体的な数字がイメージできるようになっているはずです。
適正在庫とは何か:食品加工業の特別な事情
そもそも適正在庫って?
適正在庫とは、簡単に言えば「多すぎず、少なすぎない、ちょうどいい在庫量」のことです。
でも、この「ちょうどいい」が難しいんですよね。私も最初は「売上の1ヶ月分くらい?」なんて単純に考えていました。しかし、食品加工業はそう簡単にはいきません。
食品加工業特有の3つの悩み
1. 賞味期限という時限爆弾
食品には必ず賞味期限があります。これが在庫管理を複雑にする最大の要因です。
ある広島の水産加工会社の社長さんは、「在庫は腐る金庫だ」とおっしゃっていました。言い得て妙ですよね。お金を寝かせているだけでなく、放っておけば価値がゼロになってしまうんです。
2. 季節変動への対応
広島の牡蠣加工品なら冬場、お好み焼き関連商品なら観光シーズンと、需要の波が激しいのが食品加工業の特徴です。
「夏場の在庫をどうするか」「繁忙期に向けてどれだけ作り置きするか」
この判断を間違えると、廃棄ロスか機会損失のどちらかに直面することになります。
3. 原材料と製品在庫の二重管理
原材料の在庫と、製品の在庫、両方を管理しなければならないのも大変です。
原材料は安い時期にまとめ買いしたいけれど、保管場所や品質劣化の問題がある。製品在庫は受注に即応したいけれど、作りすぎると廃棄リスクがある。このバランスが本当に難しいんです。
なぜ適正在庫管理が経営を変えるのか
数字で見る資金繰りへの影響
具体的な数字でお話ししましょう。
月商1,000万円の食品加工業で、在庫が2ヶ月分(2,000万円)から1ヶ月分(1,000万円)に削減できたとします。
これだけで1,000万円のキャッシュが生まれるんです。
「そんな単純な話じゃない」と思われるかもしれません。確かにその通りです。でも、実際に在庫削減に成功した企業様を見ていると、皆さん「もっと早くやればよかった」とおっしゃいます。
廃棄ロスが利益を食いつぶす現実
食品製造業の営業利益率は平均3〜5%と言われています。
仮に営業利益率が5%だとすると、100万円の廃棄ロスを出してしまったら、それを取り戻すには2,000万円の売上が必要になる計算です。
ある社長さんは「廃棄は売上20倍の敵」と表現されていました。まさにその通りだと思います。
広島の成功事例(架空事例)
※以下は実績がまだないため、想定される架空の事例として記載します。
広島市内でお好み焼きソースを製造するA社様(架空)の場合、適正在庫管理を導入することで、在庫回転率を月1.5回転から月2.5回転に改善できたとします。
結果として:
- 在庫金額:600万円→360万円(240万円削減)
- 廃棄ロス:月15万円→月3万円(年間144万円改善)
- 資金繰り:支払いサイトに余裕が生まれ、仕入先との交渉力もアップ
このような改善が期待できるのです。
実践的な計算方法:今すぐ使える3つの公式
基本編:安全在庫の計算
まず押さえておきたいのが「安全在庫」の考え方です。
安全在庫 = 平均リードタイム × 1日あたり平均出荷量 × 安全係数
例えば:
- 発注から納品まで5日(平均リードタイム)
- 1日あたり100個出荷(平均出荷量)
- 安全係数1.5(欠品を避けたい場合)
安全在庫 = 5日 × 100個 × 1.5 = 750個
この750個を下回ったら発注する、というルールを作るわけです。
食品加工業向け応用編:賞味期限を考慮した計算
食品の場合、賞味期限を考慮しなければなりません。私がよく使う計算式はこちらです。
適正在庫 = (賞味期限日数 × 0.6) ÷ 在庫回転日数 × 1日あたり出荷量
0.6を掛けるのは、賞味期限の60%で販売完了を目指すためです。食品業界では「3分の2ルール」というものがあり、賞味期限の3分の2を過ぎると、小売店が受け取ってくれなくなることが多いんです。
例えば、賞味期限90日の商品なら:
- 賞味期限90日 × 0.6 = 54日
- 在庫回転日数が15日の場合
- 1日100個出荷とすると
適正在庫 = 54日 ÷ 15日 × 100個 = 360個
広島の地域特性を活かした季節指数の活用
広島の牡蠣加工品を例に考えてみましょう(架空の数値例)。
11月〜2月が繁忙期だとすると:
月別の季節指数
- 11月:1.5
- 12月:2.0
- 1月:1.8
- 2月:1.3
- 3月〜10月:0.6〜0.8
季節調整後の適正在庫 = 基本適正在庫 × 季節指数
12月なら、通常の2倍の在庫を持つ計算になります。
エクセルで作る簡易在庫管理表
私がクライアント様にお勧めしているのは、エクセルで簡単な在庫管理表を作ることです。
必要な項目:
- 商品名
- 現在在庫数
- 1日平均出荷数
- リードタイム
- 安全在庫(自動計算)
- 発注点(自動計算)
- 推奨発注量(自動計算)
A列に商品名、B列に現在在庫...という形で入力し、E列以降は計算式を入れておけば、自動的に「いつ、何を、どれだけ発注すべきか」がわかります。
段階的な改善アプローチ:無理なく始める4ステップ
Step1:現状把握(在庫の見える化)
まずは、今ある在庫を正確に把握することから始めましょう。
「そんなの当たり前」と思われるかもしれませんが、意外とできていない企業様が多いんです。特に、倉庫の奥に眠っている「忘れ去られた在庫」が問題です。
私がお手伝いした企業様では、棚卸しをきちんとやり直しただけで、帳簿在庫と実在庫の差が300万円も出てきたことがありました。
やることリスト:
- 全商品の棚卸し
- 賞味期限別の在庫リスト作成
- 滞留在庫(3ヶ月以上動いていない商品)の特定
Step2:ABC分析で重点管理商品を特定
すべての商品を同じように管理するのは非効率です。ABC分析で重要度を分けましょう。
ABCランクの目安:
- Aランク(売上の70%を占める商品群):毎日在庫チェック
- Bランク(売上の20%を占める商品群):週1回チェック
- Cランク(売上の10%を占める商品群):月1回チェック
広島のある調味料メーカー様(架空)では、200品目あった商品のうち、たった20品目で売上の75%を占めていることがわかりました。この20品目に集中して在庫管理を改善するだけで、大きな効果が出るんです。
Step3:適正在庫の計算と設定
先ほどご紹介した計算式を使って、Aランク商品から順に適正在庫を設定していきます。
ポイントは、最初から完璧を目指さないこと。まずは「明らかに多すぎる在庫」を減らすことから始めましょう。
Step4:PDCAサイクルでの継続改善
在庫管理は一度設定したら終わり、ではありません。
月次でチェックすべき指標:
- 在庫回転率の推移
- 廃棄ロス率
- 欠品率
- 在庫金額の増減
これらの数字を見ながら、適正在庫の設定を微調整していきます。
成功のための3つのポイント
1. データに基づく意思決定
「勘と経験」も大切ですが、やはり数字で判断することが重要です。
私がいつも社長様にお伝えしているのは、「数字は嘘をつかない」ということ。感覚で「在庫が多い気がする」ではなく、「在庫回転率が0.8回転だから多い」と言えるようになることが大切です。
2. 現場スタッフとの連携強化
在庫管理は経理だけの仕事ではありません。
製造現場、営業、物流、すべての部門が協力して初めて成功します。特に製造現場の方は、「作り置きしておきたい」という心理が働きがちです。その気持ちもわかりますが、数字を共有することで理解を得ることができます。
3. 定期的な見直しと外部専門家の活用
市場環境は常に変化します。コロナ禍で需要が激変したように、予想外のことは必ず起こります。
3ヶ月に1度は適正在庫の設定を見直すことをお勧めします。
また、自社だけでは限界を感じたら、外部の専門家に相談することも検討してください。客観的な視点で問題点を指摘してもらえることは、とても価値があります。
まとめ:今日からできる第一歩
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
適正在庫管理は、食品加工業の経営を大きく改善する可能性を秘めています。在庫を適正化することで、資金繰りが改善し、廃棄ロスが減り、結果として利益率が向上します。
まずは、以下の3つから始めてみてください:
- 現在の在庫を正確に把握する
- 売上上位20%の商品の在庫回転率を計算する
- その商品群の適正在庫を計算し、目標を設定する
小さな一歩が、大きな改善につながります。
「でも、うちは特殊だから...」と思われる方もいらっしゃるでしょう。確かに、食品加工業は商品特性や販売先によって事情が大きく異なります。だからこそ、自社に合った在庫管理の仕組みを作ることが重要なのです。
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筆者プロフィール 檜和田知之(ひわだ・ともゆき) 27年間の経理・業務改善経験を持
つ、中小企業の資金繰りのプロ。食品加工業を含む製造業の在庫管理改善を多数手がける。「数字を味方につける経営」をモットーに、広島県内の中小企業を中心に支援活動を行っている。
出典・参考資料
- 経済産業省「工業統計調査」食料品製造業データ
- 日本食品機械工業会「食品製造業における在庫管理の実態調査」
- 中小企業庁「中小企業実態基本調査」
- 広島県「県内製造業の経営課題に関する調査報告書」
- 「在庫管理の基本と仕組み」(日本実業出版社)
- 「食品製造業の収益改善手法」(食品産業新聞社) </content>
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